■稚内市
宗谷海峡に面した、北海道の“てっぺん”のまち”稚内市。東側はオホーツク海、西側は利尻・礼文島がある日本海に面した、“ウナギの寝床”のような細長いマチです。宗谷海峡を隔てて北へわずが40㎞のところには国境の国ロシア・サハリン州があり、天気の良い日には島影を目にすることができます。
稚内を訪れる人が必ずといってよいほど立ち寄るところは、観光名所「日本最北端の地の碑」のある「宗谷岬」です。
「日本最北端の地の碑」
稚内の魅力は、単に最北の地という珍しさだけではなく、他の地域にもめったにない、さまざまな交通機関が乗り入れていて、観光などを楽しむ人々の移動手段として、多くの選択肢があることです。
稚内の西海岸は、日本海に浮かぶ利尻山、夕日の名所として抜群の景観を見せてくれます。さらに、「インスタ映え」スポットとして注目されている「白い道!」を歩くフットパスも人気を集めています。
■魅力
▼最北の玄関口・・・さまざまな交通機関を選択・利用し稚内を楽しもう!
稚内は、空港、JR、港湾、それに国道(高速バスなど)も通じており、それぞれほかの地域と密接につながりを持っていて、最北の交通の玄関口として、様々な利用方法を私たちに提供してくれている珍しいマチです。
稚内市の市街地
日程が十分とれず急ぎのとき、またのんびりと時間的に余裕があるときなど様々な状況での利用ができ、時には2つ以上の交通機関を選択して観光などを楽しむこともできます。
空の玄関・稚内空港
●空(航空機)
稚内空港では、6月の観光シーズンからは、ANA・全日空が定期便として稚内と東京・新千歳を結ぶ航空路でそれぞれ2往復運航しています。
稚内空港の定期便
このほか、別の航空会社の臨時便なども乗り入れています。
●陸(JR・高速バスなど)
JRは、旭川や札幌など主要都市間を結ぶ路線を主力に列車が運行されています。
高速バスも稚内ー札幌間で運行をしています。勿論稚内市内では、レンタルの車や自転車も利用できます。
●海(フェリー)
稚内港は、利尻・礼文島を結ぶ利尻礼文航路、観光やビジネスなどで隣国のサハリンへ渡るフェリーの基地として重要な役割を担っています。
稚内港のフェリーターミナル
▽利尻・礼文航路
レブンアツモリソウなど珍しい高山植物が咲く花の浮島・礼文島、それに利尻山の登山や利尻山を見ながら島一周60㎞を巡る利尻島など魅力あふれる2つの島を観光する足としてフェリーが運航しています。
利礼航路のフェリー
▽サハリン定期航路・・・2019年の運航は”休止”の見込みです。(2019年7月現在の情報)
稚内港とロシア・サハリン州のコルサコフ港(旧大泊)の間には「サハリン定期航路」が開設され、フェリーが就航しています。所要時間は、4時間半で、運航期間は計画では6月から9月までの間です。
サハリン航路のフェリー
2018年は、当初の計画より遅れて、8月8日から運航が始まり、9月22日まで、計38便(週3往復)の運航が予定されています。この定期便は、サハリン州と日本の双方のビジネスマンや観光客などに主に利用されています。運賃は大人15,000円、こどもは半額です。年齢によって割引制度があります。
●かつての「稚泊航路」の名残!・・・北防波堤ドーム
稚内港は、かつてサハリン(旧樺太)を日本が統治していたころ、コルサコフ港(旧大泊)との間に「稚泊航路」として連絡船が就航していました。その当時を物語る、猛烈な潮風を防ぐために建設された半アーチ型の「北防波堤ドーム」が北海道遺産として稚内港に残されています。
▼抜群!西海岸からの”海に浮かぶ利尻山&夕日”
稚内市の西海岸、坂の下から抜海(ばっかい)、それに豊富町の稚咲内(わかさかない)、を経て幌延町(ほろのべ・ちょう)に至る日本海に面した40㎞の海岸線は「利尻・礼文サロベツ国立公園」の区域になっています。
稚内市の西海岸道路
スケールの大きなお花畑が広がるなど素晴らしい自然の景観が見られるほか、沖合では、海に浮かぶ利尻山の姿、また夕日が目の前で展開するなど、稚内一の観光名所となっています。
●サロベツ原野の花と利尻山を入れて写真も撮りたい!
稚内市の浜勇知(はまゆうち)地区には、展望休憩施設「こうほねの家」が設けられ、ここの屋上に上がって利尻山をバックにした美しい自然景観を見たり、写真を撮ることができます。橙色のエゾカンゾウで埋め尽くされるのを撮影するには、6月中旬から7月上旬あたりがよいと思われます。
エゾカンゾウと利尻山
冬は、空の青さを別にすれば静寂な水墨画の世界そのものです。植物たちは、厳しい白の世界にさらされながらも、少しずつ芽を膨らませながら春を待ち、夏の訪れとともに、再び鮮やかな花を咲かせ私たちに感動を与えてくれます。
冬の情景(バックに利尻山)
●利尻山と夕日を同時に入れて写真を撮りたい!
「夕日が丘パーキング」は、稚内の西海岸一帯の夕日の穴場として知られているほか、海に浮かぶ利尻島の素晴らしい景観も同時に見せてくれます。
利尻山と夕日(夕日が丘パーキング)
特に、利尻山と夕日を同時に写真に撮るのはここの周辺がおススメです。夕日が丘パーキングはまさに車の駐車場ですので、ゆっくりと落日の素敵な風景を見物できます。
夕やけ(左側に利尻山)
●こんな写真も・・・取れました!
稚内市の抜海港には、冬の間(11月から翌3月くらいまで)ゴマフアザラシが越冬のためやってきます。
ゴマフアザラシ(稚内・抜海港)
雪をいただいた利尻山も、冬の厳しい表情を見せていました。
冬の利尻山(稚内・抜海港)
▼スポーツ
稚内で、観光客に人気上昇中のスポーツは、フットパスです。稚内には、スケールの大きな自然を歩くコース、沼や周辺のお花畑を通るコース、街中の海沿いを歩くコース、稚内公園を散策するコースなど、魅力あふれる4つのコースが設けられています。このうち「宗谷丘陵コース」は、稚内の良いところが詰まったコースです。
●フットパス・「宗谷丘陵コース」・・・「インスタ映え」スポット、”白い道”を歩く!・・・
宗谷丘陵コースは、最北端の宗谷岬付近からスタートするコースです。
このコースは、57基の発電用風車群、それに利尻山を眺めることが出来るほか、肉牛の放牧など牧歌的な風景や高山植物の花々の鑑賞も楽しむことができます。
さらに、氷河期に形成されたとされる地形が面白い丘陵を見ることができるなど、変化に富んだフットパスが体験できます。
風車群と利尻山
中でもコースのセールスポイントとして、コース上の一部約3㎞区間に「白い道」が登場します。
「白い道」
この「白い道」の正体は、ホタテの貝殻です。ホタテの貝殻の有効利用を狙ったものですが、「白い道」を体験した人からは、単に珍しいだけでなく、足元にも優しいと評判は上々。
さらに、「インスタ映え」スポット、「スマホでも見映えのする素晴らしい画像がとれた!」などとして喜ばれています。
「インスタ映え」で人気の白い道
このコースは、体力や時間に合わせて、ショートとロングの2つのコースが選択でき、2つのコースともに「白い道」を通ります。
▼イベント
●「初日の出in てっぺん」
”初日の出を最北の稚内で迎え、新年のスタートを切りませんか?”というキャッチフレーズで稚内市が始めたイベント「初日の出in てっぺん」は、1988年(昭和63年)から開催されています。
最北端の「初日の出」(稚内・宗谷岬)
稚内市内で、その年のトップを切って行われるイベントでは、威勢良く花火が打ち上げられ、さらにかがり火も点火されて盛り上がる中、最北の地での初日の出に参加したという証に、その年の干支をモチーフにした記念品が集まった人々に手渡され、初日の出の時を待ちます。
(2018年ですが、イベントには、厳しい冷え込みの中2、300人(前年+500人)が全国から参加し、盛り上がりました)
●「犬そりレース大会」
「JAPN CUP 全国犬ぞり稚内大会」と名付けられたイベントは、2018年の大会で35回を数えます。このイベントは、1頭~6頭引きまで全5クラスで、毎年2月に特設会場でレースが行われています。 2019年は、2月23日・24日に行われます。
見どころは、人と犬との息の合ったレースで、スピードとスリルにあふれる場面です。
「全国犬ぞり稚内大会」
このイベントは、映画「南極物語」に出演した樺太犬タロ・ジロが稚内市に寄贈されたことを記念して、第1回目は、樺太犬の訓練ゆかりの地、稚内公園で行われました。
●稚内と南極観測とのかかわり!
1957年(昭和32年)日本が初めて南極観測に参加する際、極地での物資輸送に樺太犬による「犬ぞり隊」を稚内から派遣することになり、兄弟のタロ・ジロなど22頭が稚内公園で訓練を受けた後、南極観測船「宗谷」で南極にわたりました。
しかし、気象条件や氷の状況などが悪化し、越冬隊が越冬を断念して引き揚げる際、22頭のうち17頭がそのまま現地に残され、その後、次の越冬隊が現地を訪れた際、樺太犬のうちタロ・ジロの2頭の生存が確認されたものです。「南極物語」は、タロ・ジロを主人公として映画化されたもので、稚内は南極観測ゆかりの地なのです。
稚内と南極観測とのかかわりを知るには、高台の稚内公園に、南極観測樺太犬訓練記念碑、樺太犬供養塔などが建立されているほか、市内ノシャップにある「青少年科学館」には、南極観測に使われた機械をはじめ物資などが展示されており、それを見ることによりその一端を知ることができます。
■画像の提供・取材協力
▽稚内市観光交通課・・・0162-23-6468
*稚内市のHP(観光関係)は「こちら」